全世界株式とS&P500、新NISAで選ぶべきはどっち？後悔しないための選び方

「新NISAで投資を始めたいけど、どのファンドを選べばいいの？」

そう悩んでいる方は多いのではないでしょうか。特に、「全世界株式」と「S&P500」を対象としたインデックスファンドは、投資初心者から上級者まで人気を二分する存在です。

主要なネット証券であるSBI証券や楽天証券では、それぞれ人気ファンドを取り扱っています。

全世界株式の代表例: 「eMAXIS Slim全世界株式（オール・カントリー）」（通称：オルカン）、「楽天・プラス全世界株式（オール・カントリー）」
S&P500の代表例: 「eMAXIS Slim米国株式（S&P500）」、「楽天・プラスS&P500」

どちらも魅力的な投資先ですが、ご自身の投資戦略やリスク許容度によって、より適した選択肢は異なります。この記事では、それぞれの特徴と、後悔しないための選び方を徹底解説します。

１．全世界株式とS&P500の基本を理解する

まず、それぞれの投資対象と特徴を把握しましょう。

項目	全世界株式（オルカン）	S&P500
投資対象	日本を含む全世界の先進国・新興国	米国の主要な大型株500銘柄
分散性	高い（約50ヵ国に分散）	中程度（米国一国に集中）
米国株比率	約6割程度	100%
特徴	世界経済の成長を幅広く取り込む。リスク分散を重視。	米国経済の成長に特化。高いリターンを狙う。

※全世界株式の米国株比率はファンドや時期により変動しますが、現在は概ね6割前後です。

２．過去のパフォーマンスとリスクの比較

過去の実績を見ると、リターンはS&P500の方が高く、リスク（値動きのブレ幅＝標準偏差）は全世界株式の方が低い傾向にあります。

指標	全世界株式（MSCI ACWI）	S&P500
リターン（過去10年）	低い	高い
リスク（標準偏差）	低い（ブレ幅が小さい）	高い（ブレ幅が大きい）

【リターン】S&P500が優勢

近年の10年間は米国経済、特にIT大手の成長が著しく、その恩恵をダイレクトに受けるS&P500のリターンが全世界株式を大きく上回ってきました。

【リスク】全世界株式が優勢

S&P500が米国一国に集中しているのに対し、全世界株式は多くの国に分散投資しているため、リスク（価格変動の大きさ）は全世界株式の方が低いと評価されます。

３．証券会社別の主な人気ファンド

SBI証券や楽天証券では、同じ指数に連動するファンドが複数ありますが、特に人気の高いファンドは以下の通りです。投資信託は、どの会社が運用していても、基本的に同じ指数に連動する限り、運用成績に大きな差はありません。

証券会社	全世界株式ファンド	S&P500ファンド
SBI証券	eMAXIS Slim全世界株式（オール・カントリー）	eMAXIS Slim米国株式（S&P500） / SBI・V・S&P500インデックス・ファンド
楽天証券	楽天・プラス全世界株式（オール・カントリー）	楽天・プラスS&P500

特に楽天証券では、2024年以降、信託報酬（運用コスト）が業界最安水準の「楽天・プラス」シリーズに注目が集まっています。SBI証券で「eMAXIS Slim」を選ぶ場合でも、楽天証券で「楽天・プラス」を選ぶ場合でも、投資対象（全世界株式かS&P500か）の特徴は変わらないため、自分の戦略に基づいて選びましょう。

４．後悔しないための選び方：あなたに合ったのはどっち？

全世界株式とS&P500、どちらを選ぶかは、あなたの「将来の米国経済に対する期待度」と「リスク許容度」によって決まります。

🌎 全世界株式（オルカン・楽天プラス全世株など）がおすすめの人

リスクを抑えて幅広く分散投資したい人
- 「米国株は強いと思うけど、何かあった時のために他の国にも分散しておきたい」と考える、慎重派の方。
投資先に手間をかけたくない人
- 世界経済の成長の恩恵を自動で得られ、一つのファンドだけで完結させたい人。
「安牌が一番」という気持ちが強い人
- 最もリスクが低く、世界経済全体が成長する限り、ゆるやかに資産が増えていくことを期待できます。

🗽S&P500（楽天プラスS&P500など）がおすすめの人

今後も米国経済の成長が世界を牽引すると確信している人
- 「過去のパフォーマンス通り、これからも米国が最強だ」と信じている、強気な方。
より高いリターンを積極的に狙いたい人
- リターンが高くなる分、価格のブレ（リスク）も大きくなりますが、それを許容できる人。
すでに他の資産で分散ができている人
- 「新NISA枠は成長期待の高い米国に集中させたい」という明確な戦略がある人。

５．結論：自分の考えと戦略を明確にしよう

全世界株式もS&P500も、長期の積立・分散投資において非常に優れたインデックスファンドであることに変わりはありません。

もし迷うようであれば、全世界株式から始めるのが一つの賢明な選択です。全世界株式を選べば、米国株の恩恵も約6割受けつつ、将来的に米国以外の国（新興国など）が成長するチャンスも逃さない、バランスの取れた戦略となるからです。

ご自身の投資目標とリスク許容度を見つめ直し、納得のいく選択をしてください。